パンノキの実は子供の頃の憧れの食べ物の一つでしたが、それをどのように知ったのか思い出せません。
「パンが実る」、そんな夢のような木が南の島に実在することにロマンを感じ、あれこれと味を想像していました。
しばらくそのことを忘れていましたが、最近ある本をきっかけに思い出しました。
もはやどこの食べ物か分からなくなった「野菜、根菜、果物」たちは多いですが、その栽培ルーツがどこにあり、またその発達と伝播を、世界各地ーーアジアの奥地や南太平洋の全域までーー探査して説きおこした本です。
農業=一番重要な文化、という著者の信念が通った内容で、
かつ身近な食材でも目から鱗のことばかり、読んでいてとにかく楽しい。
さて、この本にもパンノキが登場します。
パンノキはマレー半島東部の島々で栽培が始まり、古くから品種改良がよく発達した植物、とのことです。種あり、種無しの実や色んな葉っぱのイラストが載っています。
そして、私がスーパーで買って来たのはこちら。
白い筋は、茎から流れ出た樹液でした。
同書によると「パンノキの実は生のままでは少し毒性やヤニがあるので、ふつうは石焼にする」とのこと。
おお、「石焼」! それだけで美味しそう!
一応レシピを検索すると、切って皮を剥いてから焼いたり揚げたり、マッシュして他の材料と混ぜてケーキにしたり、と色々ありますが、まずは丸焼きにしてみたい。
・・・ということでオーブンを使いました。
参考にしたのはジャマイカサイトでしたが。
アルミに薄く油を塗って実をくるみ、420°Fに温めたオーブンで1時間20分くらい焼きました。
アニス、フェンネルに近い芳香がただよいます。爽やかな薬膳系?
竹串を刺すと中心まで通ったので、切ってみます。
ねっとりとした手応え、なかなか力がいる。
この茶色の周りを取り除いて、皮を剥きます。
まずはそのまま食べてみます。
(齧りかけすみません。一番テクスチャーが分かりやすかったので)
ほんのり甘くて味はサツマイモに近く、アニス/フェンネルの香り。
食感はねっとり弾力がありながら少しエアリーな感じもして、粉っぽい感じはしません。
昔のヨーロッパの船乗りがコッペパンと形容したのが名前の由来と言われていますが、当時のコッペパンって、こんな食感だったんだろうか??
結論。
パンではないが、美味しかった。
大きさは、買った時の値段から計算すると1.3kg。皮を剥いてもけっこうな量です。
せっかくなので、他の料理を作ってみることに。